ファンタジー的な歌詞に人生の本質というか哲学のようなものが織り込まれた歌だと思います。自分の印象に残ったのは、
『
当たりは あといくつある
残した甘菓子の中 あちらにすればと悔んで悔んで
取り替えたら 捨てた菓子のほうが当たりだったかもしれない』
の部分。この歌は恐らく、みんなの前にはいろいろな未来(クッキー)があって、どの未来を選ぶのは自由だけどどれが正しいかは分からない、という感じの歌だと思います。
で、『
当たりは あといくつある 残した甘菓子の中』この部分にドキッとさせられます。一般にもよく言われるように、人の人生はあるときを過ぎれば後はその未来の可能性の多様性を失っていくものです。大学での専門分野しかり、就職しかり、結婚しかり。クッキーは減っていくのです。
そんな減っていくクッキーの中、必死で未来、当たりのクッキーを探そうとする。しかし、それが当たりなのかどうかは選んで見なければ分からないこと、それは明らかです。
ただ、『
一つだけ当たり あなたの手の中に ほら』の部分が中島みゆきさんの前を向く精神が現われています。すなわち、どれを選んでも、あなたの選んだものが『当たり』。
運命がどうのこうのではなく、とにかく自分の選んだものは当たりなんだ。悔やんでないで前に進め! 生きること、前を向くことへの強い意志がそこから読み取れます。